キーワード辞典
アナログをデジタルにする話

登録日 08/12/05   更新日 11/12/09



例えば、気温や気圧、湿度などは、時間とともに常に際限無く細かく変化しています。 この様になめらかに連続的に変化していき、数として表現出来ないものをアナログと言います。 時間自体もアナログです。 時間の流れを一定の間隔毎に区切り、その時の値を一定の基準の目盛りで読み取り、 数値で表現したものをデジタルといいます。
算盤もデジタルな計算機です。

例えば、幹線道路で良く見かけるデジタル温度計は、 一定の時間間隔で計測したその時の気温を1℃きざみで数字で表示しています。 その時の実際の気温が20.33333...℃であっても20.86432543...℃であっても表示は20℃で、 実際の気温が21.0000...℃以上になると表示は21℃に変わります。 時間の流れが横軸、表示する気温の値が縦軸の、線グラフにした場合、 読み取る時間間隔(横軸)が短いほど、表示する目盛りのきざみ(縦軸)が細かいほど、 元のアナログデータ(=実際の気温)に近くなります。

コンピュータ内部では全てのデータを0と1の二進法として扱うので、 時間の流れを一定の間隔毎に区切り(標本化、サンプリング)、 その時の値を一定の基準の目盛りで読み取り(量子化)、 その値をさらに二進法に変換する(符号化)事で表現しています。


ラジオやテレビなどのアナログ放送では、音声や動画を電波を使って送信しています。 AMでは送信する値の違いを電波の振幅の幅の違いに、 FMでは送信する値の違いを電波の僅かな周波数の違いに置き換えて送信しますが、 アナログのままに送信する場合は、値の違いを表現する為の数が膨大になります。 しかし、量子化して得られた値の違いの数が少なくなれば、 AMは必要となる振幅が狭くとも良く、FMは必要な周波数の数が少なくて済みます。 もしも、量子化して得られた値を二進法の0と1に符号化して送信するならば、 AMは2つの振幅の幅の判別だけ、FMも2つの周波数の判別だけで済みます。 アナログTV放送はFM波で、 地上アナログ放送は1局で広い周波数の幅を使って来ましたが、 地上デジタル放送は狭い周波数の幅で済む為に、 電波の有効活用には、役立っている訳です。

※ アナログ放送
AMラジオでは、私の声を、 ラジオ局に割り当てられた周波数の電波の振幅を声の波形によって変化させる事で送信する。 ノイズが入ると波形が崩れる為にクリアな音にはなり難い。

FMラジオでは、私の声を、 ラジオ局に割り当てられた周波数を基準として 音の波形によって周波数を微妙に変化させる事で送信する。 ノイズに影響を受けないのでクリアな音を伝える事が出来る。 しかし、広い範囲の周波数を必要とする。


※ デジタル放送
前述の様に、私の声を非常に短い間隔でその時の値を標本化、量子化し、 さらに二進法の0と1に符号化した上で送信する場合は、 AMは2つの違う振幅を判定出来れば良く、 FMは2つの違う周波数を判別出来れば良い事になる。 FMの場合は、放送局が持っている周波数の割り当て範囲を狭く出来、 或いは、さらに細かくセグメントに分けて色々な情報を送信する事が出来る様になる。
A:私の声。
B:私の声を一定の間隔で区切り値を得る(標本化、サンプリング)。
C:その時々の値を一定の基準でデジタル値にする(量子化)。

量子化された値は、二進法に変換され(符号化)、0と1の信号として、
各放送局の持つ周波数の電波によって、送信される。
左の例では、左端から、12,12,12,13,13,~ だから、
1,1,0,0,1,1,0,0,1,1,0,0,1,1,0,1,1,1,0,1,~ と、なる。



AM、FMの他に、 電波でデジタルデータを送信する方法として、PMというのも有る。 これは、電波のサインカーブの位相を変えた幾つものパターンを決めておくことで、 1つのパターンで複数のビットを送信出来る様にしたものである。





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