この言葉は、元はと言えば、近年諸外国から見て日本が遅れている 「科学・数学を基盤とする科学技術に関する人材育成(理数、理工学系の人材育成)を目的とした戦略」 だと認識しているのだけれど、 例によって、様々な立場の方々の思惑と主張が乱れ飛び、 幾つものSTEAMなど、派生した言葉がどんどん作られ、 更に、内容を都合良く切り取り増幅させて「これがSTEMだ!」とか、やるものだから、 STEMというコアとなる言葉自体の概念が漠然となり、 判っている学校といない学校との格差が広がり(やっている事が全く別物)、 混沌とした状態になっている様な気がしている。 各々が判った気になっているけど各々の認識は違っている為に議論が出来ない、 かつての「アクティブラーニング」と似た状態、或いは、それよりも悪いかも。 「アクティブラーニング」の時にも書いたけど、それって、別の言葉で言って欲しい。
STEMは、
S=Science(科学)、T=Technology(技術)、E=Engineering(工学)、M=Mathematics(数学)
の頭文字で、
STEM教育は、AI社会、グローバル社会に対応出来る、
理数、理工学系の人材、及び、科学技術リテラシーを持つ人材を育てる為に力を入れるべき
4分野の教育を総称して指す言葉。
派生語がかなり有り、言葉の解釈も多少違っている場合も有る。
TとEの違いが判り難いが、Tは問題を解決する為の技術(例:プログラミング)、
Eは解決する為の提案や設計(例:システムエンジニアリング)、
と解釈する事が一般的であり、
このEの解釈により、自発的、対話的、問題解決力、提案力、表現力などがSTEM教育に含まれている。
「S」「T」「E」「M」をコアに、各分野の学びをきちんと押さえた上で、 各々の分野の目的が適切に融合した 「分野横断的」で 「総合的な教育」がSTEM教育であって、 例えば、試行錯誤したからSTEM教育だ、とか、 ロボットを教諭から示された通りのプログラムで動かして、 動いた!楽しかった!成功体験!!達成感!!!が、STEM教育、な訳では勿論無い。
話題になりカネの匂いがプンプンする「STEM」に便乗して 甘い汁を吸おうとするオンブオバケや子泣爺が群がり、 何でもアリな玉石混交状態になっている。 まぁ、「STEM」に限らず、毎回のパターンでもある。
STEMの派生語の一つ。
STEMをコアに、A= liberal Art(基礎教養、学芸)が加わった言葉。
基礎教養の上に立ったSTEM教育、という意味。
STEMの派生語の一つ。
Science, Technology, Engineering and Applied Mathematics=応用数学に力点を置いたもの。
STEMの派生語の一つ。
STEMにA=Art(芸術)が加わった言葉。
一般的には、単に「芸術」では無く、「表現力」と解釈される事が多い。
(1)の勘違い、或いは商業的な思惑に因る故意のすり替えだという話も有る。
STEAM教育(1)(2)へのオンブオバケ感は満載。表現力って、分野なのか???
以下の型名は、私が勝手に名付けている。
時系列順では無い。
その1:概念型
分野横断やTinkeringといった概念を理系に限定せずに取り入れようとする考え方。
Aという文字自体の意味を後付けする事を止め、意味を失くし、
単にAを入れる事で、理系的な印象のSTEMとは違うという事を強調している様な感が有る。
冒頭の考え方自体は納得するし、
或る言葉が、様々な人達の思惑により
最初の意味からどんどんズレて使われていく、という事は、日本語では良く有るが、
何故、Aなのだ、という便乗感満載さは有る。
紛らわしくない、新しい言葉を創れば良いのに。
その2:便乗型
「S」「T」「E」「M」それぞれを分野横断的なANDでは無くバラバラにORで考える
「(便乗して)新たに付け加えたもん勝ち!何でもアリ!!」な発想の解釈。
多くの場合、「A」は「情報デザイン」では無く「デザイン」として認識され、
Tinkeringが最前面に押し出される。
極端には、「適当に考えて可愛いイラスト書いたらSTEAM」だったりする。
その3:後付け型
「A」を「独自性」と無理矢理?解釈する説も有り、
STEMをコアにした「独自性」ならば、解釈としては納得出来るが、
それでも「E」で足りる話だし、
どうしても付け加えたいならば、「A」では無く、別の単語(Uniqueの「U」とか)が
曖昧性が無くて良いのでは無いか、
でも、そもそも、「独自性」って分野なのか?と、思わないでも無い。
先にAというアルファベット有りき、意味は後付け、な、
便乗型からの変異型。STEM便乗感満載。
個人的には、STEMの要素として
Tinkeringと同程度にArt=表現力を重要視しても別に構わないのだけれど、
何故に、コアとなるSTEMと同レベルで既に「E」も有るのに敢て表現力を強調するの? とか、
時には、内容が、Adobe系のソフトで表現力+Tinkering 押しだけで、
コアのSTEMを無視してないか? な印象も、しないでもない。
STEMは、私の個人的な感覚では、 STEAM(3)「その1」にすり替えようとする能天気な高校と比べて、小中学校が頑張っていて、 場合によっては、中学校から高校へ進学したら 授業内容がレベルダウンするんじゃ無いだろうか、という予感が有る。
私の「STE(A)M」のイメージとしては、例えば、チームで、各々の生徒自身が、
「S科学」「T技術」「E工学」(「A基礎教養」)「(A応用)M数学」を駆使して試行錯誤し、
特定の目的を持つロボットを制作、プログラミング、発表、する様な事なのかな、と思っている。
STEAM教育の話を聴く時は、先ず「どのSTEAM教育ですか?」と必ず確認が必要。
最後の「S」はスポーツ。
STEMが理系、STEAMが文系の印象を持つので、
Sを付ける事で、体育系であることを強調したいらしい。
STEAM教育(3)の変異型とも言える。
今後、何文字まで伸びるのだろうか?
STEM教育を英語で行うのが、English STEM(他にも複数の言い方が有る模様)。
STEMの為の英語教育が、STEM English(他にも複数の言い方が有る模様)。
項目的には、最も語数の少ないものを選んだだけ。