キーワード辞典
一人一台

登録日 21/02/16   更新日 21/02/16



新採から30有余年実習助手として今も再任用で現場に居る私が、ずっと思い続けている一般的感想。
勿論、きちんと使っている学校も有るし、そうでは無い学校も有る。
GIGAには生徒一人に一台が大切だけれど、生徒一人に一台有るからGIGA、では無いよ、という話。


一人一台 その1

「一人一台」は、例えば商業系の高校ならば、校内の授業単位としては、昔から、ほぼ、実現されている。 例えば、Windowsならば、校内サーバのアカウントを生徒全員に持たせ、 アクティブディレクトリなどを使って、とか、 校内授業支援システムやGoogle Classroom等という事も、昔から行われている。 それなのに、何故、今もなお「生徒一人一人の特性に合わせた」授業が定着しないのか、と、言えば、 タブレットでは無い、とか、持ち出せない、とか、そんな事では勿論無く、 タイピングでも、表計算でも、決められたお手本で、テキストに書かれている手順に従って、 一斉に、正確に、検定に合格するという目的の為に、使っているだけだから。 勿論、これらも大切な事であり、基礎基本の授業として決して否定はしないが、 それは、昨今「鉛筆の使い方」「計算機の操作方法」であって、決して最終目的では無い。 後5年もすれば、高校に入学する生徒はこれらの事が普通に出来る事が前提になっているだろう、たぶん。 もし「生徒一人一人の特性に合わせた」授業を目指そうとするのならば、 「一人一台」と同時進行で、教諭のこの発想を変えていかなければ意味が無い。
まぁ、こういう場合、かなり高い確率で教諭は「現場を知らない」と言うのだろう。 何故、教諭は発想を変えたがらないのか。だって、楽だもの。


生徒が日常的にネットで様々な情報を自由に自分で取捨選択しながら閲覧出来る今のヨノナカで、 生徒の学ぶ権利である学習指導要領を遵守し、説明上手な教育系ユーチューバーに負けない為に、 持ち運べる「一人一台」で、学校教育として、どの様に生徒の学びをデザインするか。 各教科での基礎知識を土台にして、 例えば、問題解決? 遠隔交流? 協働活動? 後はアイディア次第。



一人一台 その2

GIGAの「一人一台」は、言わば、InverseーBYOD(逆BYOD)なので、 保護者の心情としては 「配布は1回だけと言わず何度でもやるべきだ」 「故障の修理は無条件で無償だ」 と言う意見は当然出て来るだろう、 と言うか、既に多く出て来ている。 端末(と回線)が無料で貰え自由に使えるのだもの。 端末の使い方をきちんと管理指導出来る保護者は良いが、 そうでなければ、何か見せておけば楽だし、「生徒の特性に合わせた学びだ」と言えば何でもアリだな。 見方によっては、端末のバラマキ。


私のスタンスは「やるんなら、やれば良い」。 体制が取れる学校、取れない学校、有るだろうし、 取れない学校は取れるまで止した方が、とは思うが、 全ての学校が取れるようになるまで、とは、思ってはいない。 上手く動く学校も有るだろうし、そうで無い、形骸化したり、崩壊したりする学校も有るだろう。 そして、そういう意味での「教育格差」が広がり、 教育現場では、また、責任の押し付け合いが始まるか知らん。

大昔の百校プロジェクトから、eラーニング、マルチメディア教育、ICT教育、教育の情報化、 そしてGIGA(登録日基準)に至るまで、いくらタイトルを置き換えてみても、 それが全国遍く全ての学校、全ての教職員、全ての保護者で、その共通理解と体制が取れないのならば、 GIGAも、またもや、単なる景気対策で終わるのだろうか?






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