キーワード辞典
ハッカー(Hacker) [第2版]

登録日 97/09/18   更新日 02/05/31



私のハッカーのイメージ

現状の問題に対して、
現状を的確に分析し、
現状有るもの(目の前のツール)を臨機応変に活用して、
現状での最善策、次善策を思考し、解決する事が出来る人。
最後に、「こんなこと何でもないさ!」という仕草をする人。




「ハッカー(Hacker)」という言葉に関しては、
その「元になった行為」と「語源」が絡み合い、諸説紛々で、
「これ」というものがありません。
これは、幾つかの「元になった行為」が有り、
その「行為」に対して様々な人が幾つかの特徴的な部分で取り上げ、
その様な行為をするものを「Hacker」と呼んだからではないか、と、思います。

その、幾つかある「行為」や「語源」に対して、
共通する部分も有る様に思いますので、
その部分について書いてみます。


元々、英語の「Hack」という言葉には、
「道なきジャングルを斧でぶった切って突き進む」というニュアンスがあります。
そこから、
困った事が起きた時に機転を利かせ、解決する、
例えば、
コーヒーメーカーが割れてしまった時に別のもので代用したり、
小腹が空いた時に冷蔵庫の余り物で美味い料理を作る、
と、いう様な、臨機応変な、気の利いた行為をする人に対して、 「Hacker」がイメージされた様です。
この時に重要なのは、
「臨機応変」で、「あらかじめ綿密に計画を立てて」ではない部分です。
しかし、これらの行為には、
「現状を細かく分析する」ことも当然必要になるので、
このニュアンスも含まれたと思われます。
(でも、「な~に、大したこと無いさ、ちょいっとラフにやっただけ」という態度を見せるのが、
Hackerのカッコ良いところでもあります)
また、
「気の利いた洒落た悪戯」に対しても、使われた様です。
この場合は「綿密な計画」が有ったのかもしれませんが、
「気の利いた」が優先されている訳です。

同様に、コンピュータに対しても、
その利用上において、困った事が起きた時に、
ちょいっと気の利いたアイディアやプログラムなどで解決する様な行為に対し、
「Hack」と呼ぶ様になった様です。
インターネットが、あらかじめ全て綿密に計画されたネットワークではなく、
80年代、誰でも(殆ど)自由に配布・改良出来たOSであるUNIXと共に、
世界中の研究者がより楽しく気の利いたネットワークにする為に、
道なきジャングルを切り開く様に、
お互いに議論しあい、実験を繰り返すことで発展してきたことと、
深い関係が有る様に思います。

個人的には、
RFC(Request for comments)の中に、
RFC1149のようなものが、
れっきとした公式文書として存在している、というところが、
とっても洒落ていて、好きです。
(どんなものか、は、探して下さい。直ぐに見つかります。)

しかし、それらの行為は、
端から見れば胡散臭くて、何だか怪しくて、
実際、犯罪にあたる様な「気の利いた悪戯」も行われ、
それがマスコミに大きく取り上げられたために、
「Hacker」→「コンピュータを使って犯罪を起こす人」
というイメージになってしまったのでしょう。

発端は、
「Hack」という行為自体は、
「良い」とか「悪い」とかいう範疇での言葉ではない様です。
「Hacker」の中には、
正義感の強い人も、悪戯好きも、クラッカーも、居ます。
そして、それらの人達が、この言葉に誇りを持ち、
お互いに、「自分達こそが真のHackerだ」と主張しあっていることも、
現在の状態を生み出している一つの様に思います。
(それが悪いとは決して思いません)

「ハッカー会議」 という会議も開催されていますが、
これは決して悪さを計画するための会議ではなく、
インターネットの発展に貢献してきた人達の会議です。

RFC1983による「ハッカー」の定義です。

(’02/05/31 記す)


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