「ファーストペンギン」という言葉は、 20世紀末頃から自己啓発的な意識高い系ビジネスセミナーなどで持て囃され、 NHKの朝ドラで取り上げられて一躍有名になった様ですが、 私は、自然界で群れを作る弱い動物の習性から考えて、 「最初の一羽は危険が多いが多く獲物を得る」と受け取るよりは、 「最初の一羽が喰われている間に他のペンギンが獲物を得る」と受け取る方が違和感が無く、 実際、そう言っている動物学者も居る。 苛酷な自然界で生きるペンギンにとっては、 今、群れの各々が獲物を得て、自分達を守る為の群れを維持出来るかどうかが勝負で、 自分の獲物の量を他人より多く、なんて群れを無視した食い意地の張った事を考えている余裕は無い。 発想が酷く低俗的に私には思える。
一部の(全てでは無い)ビジネスセミナー系って、 時々、有りもしない嘘っぱち(或いは自分達の常識)を既成事実にしようと、 さも社会常識の事の様に押し付けて言うので、基本、大嫌い。
因みに、考え方自体は人それぞれなので全く構いませんが、 少なくとも、教育現場の教職員と言う組織においては、私個人には、違和感の有る考え方。 私は、1人の100歩より、チームの10歩。
そもそも、朝ドラの舞台設定の時代には南極大陸は発見されておらず、 ペンギンも、発見されていたのか、発見されていても何処迄習性が研究されていたのか、定かでは無い。 少なくとも、当時の彼がその言葉を使ったという考証は無い。 要は歴史の捏造。(他の言葉では無い)その言葉を敢えて取り上げ態々脚本に入れたのは、 何処かの思惑で、言葉を定着させたかったのかしらん。 私は、例えば、 2010年5月の口蹄疫に関する「宮崎の現状」メールや、 2012年3月(震災の一年後)の 「東日本大震災で父親にメールを送りながら亡くなった気仙沼の女の子」の話など、 前半はお涙頂戴で後半は誹謗中傷的な、他の幾つもの事例と同様に、 最初は本当の事の様に見せておいて、バレた人達にだけ 「美談なのだから、良い話なのだから、ウソでも良いじゃない。大人げないなぁ」 などと宣い、やがて元の事象が忘れ去られても言葉やイメージだけが定着する、という手法は、 虫唾が走る程に大嫌いな程度に一般的メディアリテラシーは持っている心算なので、 この言葉も、良い印象は持っていない。